IIJ GIO 松江データセンターパーク見学ツアーに行ってきた(2) DC見学編

前回のおさらいで「2011年中に建設されIIJ GIO用インフラとしてサービスインされる」とされていたデータセンターが完成したので、再び見学する機会を頂いた。

データセンターパークの全体像


イメージ図
IIJ社のWebサイトより転載

手前と奥に見えるトラックのように見えるもの一つ一つがコンテナDCである。
手前側のトラックの頭に見える部分が空調モジュールで、奥の四角い形のものがITモジュール(コンテナ本体)である。

奥のコンテナ列と手前のコンテナ列の間にある建物は電源設備棟で、ここから電気を供給している。
また、ネットワークの配線も電源棟側からコンテナへ配線されている。
図最奥部にある四角い設備は非常用発電機(×3台)、その手前の窓の付いている建物が管理棟で人が滞在するスペースになっている。


出入り口


管理棟


コンテナDC


冷却装置とコンテナ接続部分


冷却機


非常用発電機

何故松江なのか

  • (前回のおさらいより)顧客がDC中に立ち入らないクラウドサービスで利用する事を前提にしコンテナ型DCにする事で、都心に立地する必要性がなくなり安価な土地にコンテナを並べていけばよくなり建築コストが削減出来る。
  • 首都圏、関西圏の災害に対するバックアップサイトとしての位置づけ。
  • Ruby

クラウド時代のデータセンターの要件

  • ファシリティ投資額 従来:15-20億円/MW(首都圏に立地)→クラウド:5-10億円/MW(地方に立地、最低限の建物)
  • 用途 従来:ユーザ資産の機器を設置→クラウド:事業者の機器を設置
  • 機器設置単位 従来:数十台規模/ユーザ→クラウド:数千〜数万台規模
  • 建設期間 従来:1.5〜2年→クラウド:〜3ヶ月

コンテナのサイズ


IIJ社のWebサイトより転載

前回の見学で、通行許可申請を不要にする為にコンテナ幅を2.5mにする事を予定しているという話があったが、これを実現しているのがIZmoSになる(実際には更に狭く、2.3mになった)。
対して、前回のコンテナのレイアウトをIZmoWと名付けた。
IZmoSではラックを斜めに配置してより幅の狭いコンテナに詰め込んでおり、若干ラックサイズが小さくなっているがほぼ同じ量のIT機器を搭載出来る。冷却能力に関しても、IZmoWと同じ性能を得られる。

最近導入した5台のコンテナDCではIZmo Wを選んでいた。
なお、データセンタパークのコンテナを置く土台部分はどちらの幅でも問題なく設置出来るようになっており、実際に隣り合った2台のコンテナの片方がSでもう片方がW、というような置き方になっていた。

また、ISO規格のコンテナについても構想している(IZmo ISO)。


IZmoSのコンテナ内部 ラックが斜めに設置されておりコールドエリアの空間が狭い事が見て取れる


※参考 IZmoWの写真が無いので実証実験の時のコールドエリアの写真と比較、こっちは斜めになってない


5台のIZmo(コンテナ側)


5台のIZmo(冷却システム側)

コンテナは「建築物」か

国土交通省の「技術的助言」に従いコンテナDCが「建築物ではない」と判断される基準を満たしている為、今回は実際に建築物ではない扱いでコンテナDCを設置した。

コンテナDCの導入

コンテナDCの導入では、コンテナ工場で完成したコンテナをサーバの工場まで運んでいき、ここで直接ラッキング・キッティングまで済ませて、データセンタパークでは設置を行なって電源とネットワークを接続すれば動くという形を考えており、実際にこの方法で導入を行なっている。
HDDを搭載したサーバをコンテナごと運搬しても問題がない事は実際に試して確認したとの事。


コンテナ搬入の様子

収容効率、電力密度


IIJ社のWebサイトより転載
全体容積に対するIT機器の比率はビル型DCが14.8%だったのがIZmo Sだと16%になる。
一方電源密度でみると、ビル型DCが0.36KW/m²がIZmo Sだと1.6KW/m²になり、4倍以上高くなっている。

冷却装置の冗長化

冗長化構成については以前から考慮されていたが、今回の本番用冷却システムでは実際に冷却システムが故障しても隣接する冷却システムから冷却を継続できるような構成が取られていた。

各コンテナの冷却システムごとに写真のような横つなぎのダンパーが付いていて、冷却システム故障時などの非常時に自動的にダンパーを開放し、隣の冷却システムと接続出来るようになっている。


実際に接続されている所

冷却装置のレイアウト変更

実証実験では、吸気を天井ダクトから行い排気を側面から行なっていた。
これは、実験に使用した風速センサーが測定にある程度の直線距離が必要であり、天井部にはスペースがあったのでここを選択せざるを得なかったという事らしい。


実験機の吸気・排気

対して、今回の本番機では隣り合った複数の空調機が同時に稼働する為、天井ダクトから吸気を行うと隣の排気を外気として再取り込みしてしまう可能性がある。
その為、吸気を風通しの良い外周側にして、排気は高所から吸気と逆方向へ吹き出す事で再取り込みの可能性を最小限に抑えている。



本番機の吸気・排気

コンテナ専用の機器・ラックを使わない理由/今後使うことはあるのか

最初に「この機械しか入らない」というような物を作ってしまったら不便だろうと判断し、通常型DCのラックと同じラックを使えるようにした。
しかし、今回このコンテナ型DCを実際に作った事で、サーバメーカからこのコンテナに合わせた機器を作ってくれるというような話が出てきつつある。
が、未だしばらくは汎用の筐体で行くんじゃないか、という事だった。

コンテナ監視システム

コンテナ内に監視サーバを配置し、コンテナ内温度・消費電力・機器のLEDステータスを監視できるようにした。
また、リモートからの電源供給のコントロール、コンテナ内に設置したWebCamによる監視をできるようにした。
これらをブラウザから管理できるようにした。


IIJ社のWebサイトより転載

但し、このあたりの機能については必ずしも一つの方式が全コンテナに共通で展開されるのではなく、用途や機材ごとにカスタマイズしていくとの事。

見学風景

以下、見学風景です。
特にGeekなぺーじのあきみちさんの撮影風景が気合入ってるので見て行って下さい。


ロゴがなかなかかっこいいよね。


…おお!ここが!こうなって!
(何のぞき込んでるんだろう…


あきみちさん:気合入れて撮るよ!超気合入れて撮るよ!


あきみちさん:とぁーっ!